大賀はす

f:id:hisakyonsan:20220811094924j:image昨日町田市の薬師池公園に大賀はすを見に行きました🪷大賀はすは2000余年前の蓮の実3個を発掘しそのうちの一個だけ発芽に成功したものです。ピンク色の大輪は悠久の時を越えその優雅な美しさは本当にすばらしかったです。

 

ひさかたの雨も降らぬか蓮葉に溜まれる水の玉に似る見む  巻16 3837 詠人未詳

遥かなる時を越え咲く大賀はす天に伸びゆく淡き紅   恭子    

山ゆり

f:id:hisakyonsan:20220727103847j:image道の辺の草深百合の花笑みに咲みしがからに妻といふべしや

巻7ー1257

あなたは道の辺の草深いところに咲いている百合がほころぶように、ちょっと微笑んでだけでもう妻と決まったようにいうのはやめてね。

 

隣りの長池公園に咲いた山ゆり。

多摩よこやまの道

f:id:hisakyonsan:20220723165119j:imagef:id:hisakyonsan:20220723165133j:image赤駒を山野に放し捕りかにて多摩の横山徒歩ゆか遣らむ

赤駒を山野に放牧し捕まえることができずに夫に多摩の横山を歩かせてしまうのだろうか。

 

防人の妻が夫を想う歌。武蔵野を一望できる多摩の横山の尾根で故郷を振り返りながら家族との別れを惜しんだ防人の姿が浮かぶ。

 

多摩丘陵国府(府中)からみると横に長く連なりそこから「多摩の横山」、「眉引き山」と呼ばれていました。

多摩川にさらす手作りさらさらに何ぞ子の児のここだ愛しき


多摩に住む者としてまずはこの歌から始めたい。

 

多摩川にさらす手作りさらさらに何ぞこの児のここだ愛しき

             巻14・3373

東歌の代表ともいえる武蔵国の歌。

2021年7月に多摩川近くにある狛江市の万葉歌碑を訪ねた。

多摩川の流域は麻の生産地であり、現在の府中市はかつての国府であった。その下流の調布は律令時代に「調」となる「布」(麻布)の集積地である。

 麻布はごわごわとしておりそれを柔らかくするために布を川にさらす作業をする。この歌はそのときに歌われた民謡である。川の流れのさらさらと、作業するときのさらさらとが一体となっている。さらにその作業をしている子はこんなに可愛い、何て愛おしいのだ、とおおらかに歌い上げている。

 

訪れた日も夏空に多摩川の川面がきらきらと光り、集まる人たちも思い思いに多摩川を満喫していた。